本稿はAI 開発の協同アライアンス「Enable AI Foundry」事務局による寄稿です。お問い合わせはこちら
シャープは12月22日から2026年1月5日まで、オンラインハッカソン「Semantic Camera で未来を創ろう!」を開催する。参加費は無料。優れた成果を残したチームには賞品授与に加え、出資や共同開発、アクセラレーション支援も検討する。
映像を「意味」に変換する AI センシング技術
セマンティックカメラとは、シャープが開発を進める AI センシング技術のコンセプトだ。特定のカメラ製品を指すのではなく、市販のカメラと AI 処理を行う開発ボードを組み合わせて実現する。
従来のカメラが映像をそのまま記録・転送するのに対し、セマンティックカメラは撮影した映像を AI がリアルタイムで解析し、「人が立っている」「物が動いた」「転倒した」といった意味情報だけを抽出してテキストデータなどの形式で出力する。映像そのものは送信も保存もしない。
この仕組みには大きなメリットがある。まず通信量の大幅な削減だ。動画データではなく軽量なテキスト情報のみを扱うため、通信コストが極めて安く済む。そしてプライバシーの保護だ。映像が残らないため、浴室や更衣室、病院など、これまでカメラ設置が難しかった場所での見守りにも活用できる可能性がある。

4つの領域で新たなユースケースに挑戦
本ハッカソンでは「イエナカ」「車の中」「職場」「店舗」の4つの利用領域を設定している。
「イエナカ」では、プライバシーが最も重視される空間ならではの活用が考えられる。例えば浴室での高齢者の転倒検知や、寝室での睡眠中の異変察知など、従来のカメラでは実現が難しかった見守りサービスだ。映像を残さないからこそ、家族も見守られる側も安心して導入できる。
「車の中」では、ドライバーの居眠りや体調急変の検知、子どもやペットの車内放置アラートなどが想定される。車載カメラの映像をクラウドに常時送信する必要がないため、通信コストを抑えながらリアルタイムの安全監視が可能になる。
「職場」では、工場や倉庫での危険行動の検知、オフィスや会議室の利用状況把握などが考えられる。従業員の行動を映像で監視するのではなく、「人がいる・いない」「異常な動きがあった」といった情報だけを取得することで、プライバシーに配慮した業務効率化や安全管理が実現できる。
「店舗」では、顧客の動線分析や混雑状況のリアルタイム把握、商品棚の欠品検知などが活用シーンとなりそうだ。来店客の顔や姿を記録することなく、店舗運営に必要なデータだけを取得できる点が強みになる。
これらはあくまで一例であり、開発テーマは生成 AI から QOL、エンターテインメントまで自由に設定できる。セマンティックカメラ単体での活用はもちろん、生成 AI と組み合わせたトータルシステムなど、新たなユースケースを体感できる PoC(概念実証)の制作に挑戦してほしい。

参加資格は不問、開発環境はシャープが用意
参加資格に制限はない。生成 AI に関わるエンジニアやデザイナーはもちろん、スタートアップやアカデミアなど業種・職種を問わず、チーム、法人、個人いずれでも歓迎する。
提供される環境だが、クラウド AI の開発環境として「さくらの AI Engine」と「さくらの AI ソリューション」の一部クーポンが提供される。また、シャープが開発した AI 高位合成ツール「AIRTIPS」も利用可能だ。
なお、セマンティックカメラ自体については、参加者が開発しやすいものを自由に選べるよう、あえて運営からは提供しない方針だ。そのため、PoC に必要な機材(PC、ラズパイ、市販カメラなど)は参加者側で用意する必要がある。カメラについては、希望者には開発ボードおよびシャープ製開発アプリを先着5名限定で貸与する。
最優秀賞の受賞チームには65型テレビ「AQUOS」を授与。優秀賞およびワクワク賞には「ポケとも」が贈られる。応募期間は11月26日13時から12月10日23時59分まで。12月22日開催予定のオンライン Kick off に参加できることが条件となる。
2026年1月に大阪市内で開催予定の表彰式では、優秀な PoC 制作チームに成果を発表してもらう予定だ。
新しい技術で未来を創りたい方、ぜひこの機会に挑戦してみてはいかがだろうか。
この記事は THE BRIDGE に掲載された記事の転載です。